ゴーシュ配座、アンチ配座

 1-クロロプロパンのC1-C2結合のねじれ配座にはさらに二つのねじれ配座が存在します。まずは状態Aの配座です。この配座では塩素原子とメチル基との二面角は60°となっています。このような配座をゴーシュ配座(gauche conformation)といいます。gaucheとはラテン語で、「気の利かない、不器用な:という意味です。C1-C2結合が120°回転しますと今度は状態Bの配座となります。この配座では塩素原子とメチル基との二面角が180°となります。このような配座をアンチ配座 (anticlinal conformation)と呼びます。antiとは英語でもラテン語でも「反対」の意味です。最近は「アンチ巨人」とか日本語でも用いられます。さらに、C1-C2結合が120°回転しますと状態Cの配座となります。この配座でも、塩素原子とメチル基との二面角は60°となっており、ゴーシュ配座(gauche conformation)と呼びます。配座Aも配座Bもゴーシュ配座ですが、これらは左らせんと右らせんの関係にあり、全く同じというわけではありません。不斉炭素などが有る場合は、重要になる場合もあります。当然、これらの配座の変化の途中には、状態Dや状態Eのような重なり配座を通らなければなりません。